のんたんママの活動記

19年間、猫たちのお世話を毎日続けてきました。雨の日も、雪の日も、嵐の日も、体調が悪い日も・・・。そこで、ちょっとした記念として、活動記なんて大げさかもしれませんが、こんなことや、あんなことがあったなぁ〜と思いつくままに綴ってみました。

[画像/アメニモマケズ][画像/カゼニモマケズ][画像/孫を背負い]

目次
 猫をはじめて意識した出来事(活動のきっかけ) / 猫の不思議な話 / 猫たちの最後を看取る / 悪(ワル)猫軍団の話 /
子連れ猫の嫁入り!?
のんたんママの部屋(シェルター)の猫たちの話編
その@:人慣れ度が一目瞭然!? / そのA:ツキとフクどっち? / そのB:歌う猫フウちゃんのこれまでの猫生 /
そのC:ウメちゃんの脱走を阻止せよ

猫をはじめて意識した出来事(活動のきっかけ)

野良猫や捨て猫たちのお世話を始めて今年(2014年)の春で19年目になりました。「猫のボランティアさんってみんな子供の頃から猫好きなんでしょうね」と思われる方が多いと思いますが、実は、のんたんママ、結婚して子供が大きくなるまで、猫には全く関心がありませんでした。子供の頃から飼っていた動物は犬だけで、猫を飼った経験などなく、いつも気にかけるのは犬のこと。外で飼い主さんと散歩している犬を見ては微笑ましく思い、近くに飼い主さんがいない犬を見つけては迷子なのかと心配になる。でも、猫に対しては全く無関心で、野良猫の存在は知ってはいましたが、野良猫って本当にいるんだ!と実感できたのは、ボランティア活動をはじめてからでした。そのボランティアをはじめるきっかけは、19年程前、野良猫のメス1匹が自宅のベランダにやってきたことでした。
[画像/ベランダの母猫]

ある日、突然、自宅にやってきた1匹の野良のメス猫。出産が近いようで、お腹が大きく、どうやら安全な出産場所としてのんたんママの自宅のベランダを選んだようでした。「困ったわ、どうしよう・・・。」正直、別のところに行ってほしいと思いましたが、「お腹が大きいのに外に出すわけにもいかないし(可哀そうだし)・・・ん〜、仕方がない、出産して子猫たちとどこかへ行くまでよね。」と、期間限定で仕方なくお世話をすることにしました。しばらくして、お母さん猫が無事、数匹の元気な子猫たちを産みました。この時ののんたんママは、子猫たちは可愛いなとは思いましたけど、自宅で飼うことなんて全く考えていませんでした。「さあ、そろそろ、猫一家とのお別れかな。子猫たちが自分で歩き廻れるくらい大きくなったら母猫と一緒に出ていってくれるわね。」とそう思っていたある日のこと。どうもお母さん猫の様子がおかしいことに気づきました。お母さん猫を動物病院につれていくと・・・ガンだと判明。獣医師に手術をしても、もう助からないと言われ、安楽死をすすめられました。[画像/子猫]


安楽死という言葉自体にショックを受けました。それまで、安楽死の判断を迫られる状況に直面する機会なんてなかったからです。「安楽死ってどうなんだろう・・・そんな簡単に人間が他の動物の死を決めていいものなのかしら。安楽死に関する知識もないし、考えた事もないし・・・そんな私が決めていいものなのかしら。」 一つの命の重さ・・・そして、その命の生死の判断を委ねられた責任の重さが、ずっしりとのんたんママの心に圧し掛かってきました。苦しい思いをさせるより安楽死させた方がお母さん猫のためなのかしらとも思いましたが・・・そのお母さん猫や取り残される子猫達の事が可哀想になり、どうしても安楽死に踏み切れませんでした。結局、お母さん猫を自宅に連れて帰り、子猫達も含め、死ぬまで、できる限りのお世話することにしました。

猫達のお世話をしているうちに、野良猫への関心が生まれ、いろいろ調べるうちに、野良猫たちの過酷で可哀そうな現状を知り、そんな現状をどうにか変えなければと思うようになったのが、野良猫・捨て猫保護活動のきっかけです。それから、現在に至るまで、可哀想な野良猫の数を増やさないよう、避妊去勢手術をすること、里親探しをすること、エサやりなどお世話を毎日続けています(※)。ひょんなことから猫の保護・愛護に目覚めてから、気づけばもう猫派歴19年になりました。 ― Fin. ―

※現在、体調不良により、野良猫・捨て猫保護活動はしばらく休止し、里親探しに専念しています。

猫の不思議な話

猫が自分で新しいお家を選んだ!?

[画像/見送り]のんたんママが何をするにしても足元にまとわりついたり、抱っこや遊びをせがんだり、とにかく、のんたんママにベッタリで甘えん坊だった猫の話です。
ひょっとしたら、里親が決まっても、親離れできないんじゃないかと心配になる程の甘ったれの猫でした。そんな猫の里親さんが決まり、初めてお宅に連れて行った日の事です。里親さんのお宅では、先住猫がおらず、里親さんが猫の好きなようにさせて下さいとおっしゃって下さったので、早速、猫をゲージから出すことにしました。車の中では、普通の猫と同様、ナーバスになっていたので、ゲージから出しても、きっとどこかに隠れて、しばらくは、じっとしているんだろうなと思ったのですが・・・予想は大外れ。ゲージからトトトッと出るなり、トンとソファに飛び乗り、まるで「ここは僕の家だよ」と言わんばかりに、ゴロリと寝転がり、里親さんにスリスリ、毛づくろいを始めてリラックス。のんたんママとお別れしたくないとダダをこねたり、鳴いたりもしませんでした。それどころか、こちらには目もくれずにお家の探検を始める猫。今まで、抱っこしたり、話しかけたり、愛情を注いできたのに、こんなあっさりしているなんて・・・のんたんママ、ちょっとショックでした。通常は、猫が落ち着いた頃を見計らって、おいとまするのですが、この日は、里親さんと誓約書を交わし、ちょっとおしゃべりして終了。さぁ、帰りましょうとなった時、探検中の猫が玄関に現れ、しばらく、じぃ〜とのんたんママを見つめ、さっとリビングに戻っていきました。きっと、「ここは僕のお家だから、大丈夫、じゃあね。」という別れの挨拶だったのかもしれないなと思いました(感動してうるうるしてしまったのんたんママ)。昔から、猫は家に付くと言いますが、猫がお家を選んだんだなぁ〜と思える印象的なお別れでした。



実は、この話には、後日談があり、猫が新しいお家に慣れた頃( 初めて連れて行った時点で十分過ぎるほど慣れていたんですけれどね。 )、アフターフォローも兼ねて、のんたんママが里親さんのお宅を訪問した際の話です。[画像/再会][画像/気配]玄関から窓際にいるその猫の姿が見えて、パチッと猫と目が合った瞬間、さっと猫が部屋の奥に消えてしまったので、「あら〜♪きっと、のんたんママのこと、ちゃ〜んと覚えていて、これから玄関でお迎えしてくれるのね。ふふふ。可愛いわね。」と久しぶりの再会にワクワクして、ピンポーンとチャイムを鳴らしました。ガチャリとドアが開いた瞬間・・・あらら?いない!?里親さんがにこやかに迎えてくださいましたが、肝心の猫がいない。里親さんに「猫ちゃんは・・・」と伺うと、「あら、変ね〜さっきまで側にいたのに、どこかに行っちゃたみたい。」とのこと。その後、しばらく、里親さんと話をしていたのに、気配はするけど、猫が来ないではありませんか。どうしたのかしらね〜と里親さんと話しているうちに、のんたんママ、ピ〜ンときました。その猫ちゃん・・・「のんたんママが、連れ戻しに来たと勘違いして、隠れているんだわ!!」

[画像/勘違い] 「猫も勘違いするのね〜(笑)でも、よっぽど、新しいお家が気に入ったのね。」と里親さんと笑い合ってしまいましたが、のんたんママの心中はちょっぴり複雑でした。猫ちゃんにとって私ってどんな存在だったのかしら・・・ひょっとして前回のことは、見送りじゃなくて、もう来ないで!って意味だったのかしら?う〜ん、親の心子知らず・・・。うれしいやら、悲しいやら・・・でも、やっぱり嬉しいわ。だって、居心地の良い新しいお家と素敵な家族ができたってことですから。猫と里親さんの幸せが一番ですものね。そのためなら、のんたんママは勘違いされてもいいわ(ちょっぴり残念ですけどね)。今でも時々思い出しては、ぷぷっと笑ってしまう可笑しな出来事でした。― Fin. ―

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猫たちの最後を看取る

[画像/最後を看取る]人に懐かない猫、重い病気の猫、高齢の猫などなかなか里親さんが決まらない猫達を自宅で引き取り、これまで幾度となく看取ってきました。

目が合えばシャー、エサをあげてもシャー、そして飛びつく人間恐怖症の猫たち。病院に連れていく時は、引っ掻かれて腕から血が出ても猫をゲージに入れる。人が怖いのは、人から嫌なことをたくさんされてきたから、もしくは、人の愛情を知らずに育ったからだと分かっているから、不憫でしょうがない。でも、正直、人は敵だと言わんばかりに攻撃してくる猫が怖い。だからといって、無責任に捨てるなんてあり得ない。だから、どんなにシャーシャー威嚇されようとも、猫パンチを食らおうとも、「はいはい。XXちゃん、今日も元気ね。」と言って、毎日お世話を続ける。

そんな怖い猫も年をとれば、シャーシャー言ったり飛びついたりする気力も体力もなくなり、ちょっとは穏やかになる(以前と比べればの話ですが)。でも、やっぱりシャーと言うけれど、以前ほどの迫力はない(きっと)。そして、体力もより衰え、お迎えが近くなる頃には、抱っこもさせてくれる(抵抗できないだけか、それとも、もういいやって思ってくれたのかわからないけれど)。いよいよ今生に別れを告げようとするとき、猫はのんたんママの腕の中でポロリと涙を流して亡くなっていく。何故か、どんな人嫌いの猫でも、のんたんママに抱かれて、ポロリと涙を流し、安らかに、そして眠るように亡くなっていく(不思議)。これまで何度も何度も猫の最後を看取ってきたけれど、猫の死に全く慣れなくて泣いてしまう。人から酷いことをされることなく・・・人に撫でてもらったり、おもちゃで遊んでもらったり、膝の上でゴロゴロ喉を鳴らしてみたり、抱っこしてもらったりと人の愛情をいっぱい、い〜っぱい受けて、猫にとって安心・安全な場所で一生を過ごせさせてあげたかったなと思うと涙がぽろぽろとまらない。でも、いつまでも泣いてはいられません(と立ち上がる)。のんたんママのことを待っている猫たちが他にもたくさんいるんですから。猫たちの里親さん探しや、治療が必要な猫たち、ごはんを待っている猫たちがいるんですから。― Fin. ―

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悪(ワル)猫軍団の話

[画像/エサ入れ][画像/壁紙] のんたんママのシェルターには、人懐っこい猫たちの他に、どうしても人に懐かない猫もいます。そんなシャーシャー威嚇してばかりで、人に慣れない猫たちに里親さんが見つかる事は、ほぼ・・・いえ、100%無いため、のんたんママが一生お世話をすることになります。シャーシャー威嚇するだけならまだ良いのですが、人に懐かない猫たちの中の数匹がどうしようもない程、ワルなんです(のんたんママは彼らのことを悪(ワル)猫軍団、略して猫軍団と呼んでいます)。思えば、これまで、何をするにも、ずっと猫軍団とのんたんママとの知恵比べでした。

他の猫への嫌がらせなのか、好きなエサを取られたくないのか、それともエサが気に食わないのかわかりませんが、エサ入れにオシッコして、誰も食べられないようにしたり・・・(お腹を空かせた他の猫たちが、のんたんママにエサがないとニャーニャー訴えてきました)。また、壁紙をペット仕様に変えたばかりなのに、何が面白いのか壁紙と壁紙のつなぎ目を目敏く見つけて、器用に爪をつなぎ目に引っ掛け、ペロリと壁紙を剥がしたり・・・(自分で壁紙貼るのって本当に大変だったのに、苦労が水の泡です)。他にも高い場所はいくらでもあるにも関わらず、わざわざエアコンの上の棚(※エアコンの上に直接乗らないように設置した いたずら防止棚)に乗っかって、そこでオシッコしたり(のんたんママの心のダメージMAX!)・・・その他にも色々ありすぎて、挙げたらキリがない程。しかも、のんたんママが忙しい時に限って、それらのいたずらを 是見よがしにやってくれます。[画像/エアコン]

忙しいからといって、そのまま放置しておくわけにもいかず、猛スピードで猫軍団のいたずらの後始末をします。 オシッコをかけられたエサ入れをきれいに洗い消毒したり、あまりに汚れがひどい時には、新しいエサ入れに買換えたり・・・剥がされた壁紙をより頑丈に貼り直し(汗びっしょり)・・・エアコンのオシッコは、「エアコンの故障だけでなく、もし配線とショートして火災になったら大変!!」という訳で、窓用エアコンを購入することも考えましたが、まだ新しいエアコンなので、(二度とされたくはありませんが)オシッコをされても、エアコン内部に入らないように、エアコン上部に設置してある棚板に防水シートを貼るか、猫が上に乗れないようにして使い続けることにしました。は〜それにしても、猫軍団のいたずら(仕事?趣味?遊び?)の片付けで、労働が通常の2倍3倍になるなんて。「夜中まで後片付けするのんたんママのこと、少しでも考えてちょうだい。猫軍団のみなさん!」・・・なんて、猫軍団に呼びかけても当然の事ながらしらんぷりされます。[画像/秘密]



のんたんママも負けじと対抗策を考えて応戦していますが、いつも猫の方が一枚上手で・・・のんたんママが、思いも寄らない場所を見つけては、次々と新しい嫌がらせを思いつくようです。ひょっとしたら、のんたんママより賢いのかもしれないとつくづく思います。のんたんママを困らせるのが趣味で、のんたんママの努力の結晶をことごとく無にする破壊者・・・それが、猫軍団です。姿形は可愛いけれど、中身は小悪魔か!?と思うこともしばしば。ひょっとしたら、みんなが寝静まった頃、人知れず、その可愛い猫の着ぐるみを脱いでいるのではないでしょうか。今度、真夜中にこっそり覗いて見ようかしら。

今日も、明日も、明後日も、のんたんママと猫軍団の攻防戦はつづきます。機会があれば、また猫軍団のお話をいたしましょう。― Fin. ―

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子連れ猫の嫁入り!?

これまで、数えきれない程たくさんの猫たちの避妊去勢手術をしてきました(多い時には、年間100匹前後)。捕獲用ゲージの中に美味しそうな匂いのするエサやごちそうを入れて、ただひたすら猫が入るのを待つ。猫が警戒して、なかなか捕獲できない時は、エサを変え、またひたすら待つ・・・ゲージを仕掛けても捕獲できるかどうか分からない(空振りに終わることもしばしば)・・・そんな根気のいる作業です。

[画像/子猫]今回のお話は、避妊去勢手術と保護のため、野良猫の一家を捕獲する際に起こった出来事です。 それは、数年程前のある日、毎日のエサやりである程度、人慣れさせていたお母さん猫と子猫2匹の3匹を捕獲する為、捕獲用ゲージをいくつか仕掛けておいたので、様子を見に行くと、子猫が1匹だけゲージの中に入ってました。「あら、子猫1匹だけ・・・。でも、お母さん猫たちも近くにいるはず。ただ、警戒してしばらく出てこないかもしれないわね。」と思いました。
通常、仲間猫が捕まえられると、他の猫たちはその様子を見て警戒してしまい、なかなかゲージに入ってくれないんです。だから、今回も、「お母さん猫は残った子猫を守ろうと、どんなに美味しいエサで誘惑しても、そう簡単に捕獲できないだろうな・・・時間がかかるだろうな。」とある程度、長期戦になることを覚悟しました。[画像/子猫]

ところが・・・「あれこれ考えても仕方がないわね。とにかく、お母さん猫と子猫1匹も捕まえなきゃね。」と思い、ゲージのエサを変えて、別の場所に設置しようと思った時でした。トコトコとそのお母さん猫と子猫が、いつものようにやって来たではありませんか。警戒している様子なんて全くありません。その後のお母さん猫の行動にさらに驚かされました。なんと、お母さん猫が、子猫を連れたまま自分からゲージの中に入って来たのです。「あら、まあ!驚いた!猫が自ら捕獲ゲージに入るなんて・・・初めて見たわ。こんな事ってあるのね〜。」とつい言葉に出してしまう程、びっくりしました。どうして、お母さん猫がそんな行動をとったのか分かりません。捕まった子猫が心配だったのかもしれませんし、単に美味しそうな匂いのするエサの誘惑に勝てなかっただけなのかもしれません。ですが、のんたんママには、お母さん猫に「私たちをよろしくね。」と猫一家を託されたように感じました。

[画像/嫁入り]

あくまで勝手な想像ですが、母猫の行動を言葉にしてみると・・・
母猫「主人は、子供たちが生まれて間もなく、私達を残して旅に出てしまったんですの。まあ、もともと放浪癖のあるオス猫でして・・・今頃、どこでどうしているやら・・・もしかしたら、もう既にこの世にはいないかもしれません。あ、でも、私も子供たちも、彼の事を少しも恨んだりしていないんですのよ。野良猫の世界ではよくある話ですしね。それで、主人が出て行ってからというもの、私なりに一生懸命、子育てしてきたつもりですが、野良猫生活も色々と大変でして・・・暑さや寒さに耐え、子供たちをあらゆる危険から守り、飢えを凌ぎ、のどの渇きを癒すのに必死でした。あぁ、これからもずっと、そんな生活が続くのかなと半ば諦めかけていた頃、のんたんママと出会って、これが野良猫生活から抜け出せる最後のチャンスかな・・・と思ったんですの。親として、子供たちのために、できる限りのことはしてあげたいと思いましてね。それで、子供を連れてゲージに入ろうって決心したんですの。だから、どうぞ私たちのこと、末永く宜しくお願いいたします。」・・・こんなイメージでしょうか。

その後、3匹の猫一家は、のんたんママの自宅で里親探しをすることになり、ほどなくして、子猫2匹の里親さんが決まりました。残念ながら、お母さん猫と里親さんとのご縁はなかったのですが、ひょっとしたら、お母さん猫は、自分の一生分の良縁を子供たちのために使い果たしたのかもしれません。今では、のんたんママの自宅で、母猫としての務めを果たし、ほっとしているのかもしれませんね。― Fin. ―

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その@:人慣れ度が一目瞭然!?



[画像/階段を上るのんたんママ][画像/わいわいしてる猫たち]猫たちが人にどの程度慣れたかは、のんたんママが猫部屋に入った時にす〜ぐに分かります。猫部屋は2階にあるのですが、のんたんママが階段をトントントンッと上る音で、猫たちは「人が来たぞ!」と分かり(ちなみに、階段を上る足音でも、誰が来たのか判別できるようです)、みんなでワイワイ遊んでいたのをピタリと止め、それぞれがヨ〜イドンで、指定の位置に移動します。そして、のんたんママが部屋のドアを開けると・・・棚の一番高い所にシャーシャー“威嚇組”と“逃げ隠れ組”が、棚の中段にまだ人がちょっと怖いけど、人が気になる“複雑な心境組”が、そして、床には人が好きで、早くご飯が欲しいとか遊んで欲しいとか人に要求を伝える“人慣れ組”が待ち構えているんです。ねっ!わかりやすいでしょう?(笑)これは、要するに、人が怖い猫たちは、なるべく人から離れた場所で安全を確保したいから、人がなかなか上がってこられない高い所に移動する。人に少し慣れてきたけど、まだちょっと怖いなと思っている猫たちは、怖そうなことがあれば(掃除機を見るなど)、すぐに一番高い方にも避難できるし、良いこと(おもちゃや大好きな缶詰を発見するなど)がありそうならすぐ降りられる、つまり様子うかがいができる中段に移動する。そして、人に対して警戒心がない猫たちは、遊んで欲しい!とか抱っこして欲しい!とかご飯が欲しい!とか自分の欲求を早くかなえて欲しいから、自己アピールしやすい床で待っているんです。[画像/人慣れ度が一目瞭然な猫たち]

のんたんママがトイレや部屋の掃除、エサやりなどを一通り終えて、部屋を出ていくと、“威嚇組”、“逃げ隠れ組”、“複雑な心境組”もみ〜んな床に降りてきて、ごはんを食べたり、遊んだり、くつろいでいたり、それぞれが好きなようにしてます。時々、階段を降りるフリをして、そ〜っと部屋の様子を見ているとなんだか楽しくて。時々、数匹の猫にのぞきがバレることもあって、猫たちが「えっ!?何?まだいたの?何してるの?」とのぞき返されることもまた楽しいんです。

上段にいた“逃げ隠れ組”が中段にいることが多くなって“複雑な心境組”になると、「よしよし、大分警戒心がなくなってきたわね。人に慣れてきているわ。」と嬉しくなります。もちろん、数か月経っても“威嚇組”や“逃げ隠れ組”のままの猫たちもいます。そんな猫たちを見る度、「早く、みんな“人慣れ組”にならないかしら。そしたら、どんなにいいか・・・。」とよく思います。

人懐っこい猫を数匹飼っているだけじゃあ、こんなことわからないですよね?いろんな事情で異なる場所から連れてこられた猫たちがたくさんいる多頭飼いだからこそ、わかった発見でした。それにしても、シェルターの猫たちったら、まるで、修学旅行中の中学生みたい。就寝時間が過ぎてもワイワイまくら投げやったり、話をしたり騒いでいて、先生の気配を感じると、みんな一斉に布団に勢いよく潜り込んで、寝たふりする感じ(笑)― Fin. ―

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そのA:ツキとフクどっち?



[画像/ツキとフク]ツキちゃんとフクくん、そしてゴマちゃんは、兄弟猫で元々同じ飼い主に飼われていました。ところが、飼い主が急死してしまったため、のんたんママの部屋(シェルター)に3匹一緒にやってきました。まだ、お部屋に連れてきたばかりの頃は、みんなナーバスでした。ツキちゃんは、人と目があっただけでシャーシャー言うし、フクくんは置物のように微動だにせず(でも、翌日ゲージをのぞくとカリカリも缶詰も空っぽの大食漢!)、そして、ゴマちゃんはツキちゃんにべったりくっ付いて怖い怖いと顔を隠していました。それも当然ですよね、ゲージに入れられ、獣医さんに注射されたり色々調べられたりしたんですもの。

のんたんママの部屋では、新しく保護した猫たちは、1か月間(可哀そうですが)大きなゲージの中で生活してもらいます。その間、週1回の検便を4回行ってもらい、寄生虫がいないか(もしくは、薬で完全駆除できたか)を念入りに確認します。最初の検査では陰性でも3回目に陽性だったこともあったからです。また、この1か月は、新しい環境とお世話をする人と先住猫に慣れさせる、そして、先住猫と新入り猫がお互いを仲間だと認識させる大事な期間でもあります。最初は、ゲージを大きな布を覆って、猫の気配と匂いに慣れさせます。その後、少し布を上げて、猫同士の姿がちらりと見えるようにして、威嚇したり怖がらなくなったら、布を外します。もうその頃には、いつ出しても大丈夫です。最後の検便結果が陰性だったら、外で自由にさせます。面白いもので、人にはシャーシャー威嚇する猫が、新入り猫の顔をペロペロなめてお母さんみたいにお世話をしたり(オスでもお母さんみたいになります)、同じ箱の中で仲良く寝ていたりしています。猫同士の相性ってどういうところで決まるんでしょうね。猫にしか分からないニオイか猫限定のテレパシーのようなものがあるのか・・・不思議です。[画像/シャーで判別]

さて、話をツキちゃんとフクくんに戻すと、この2匹は別々のゲージにいたので、名前を間違えることはありませんでした。ところが、ゲージから出して自由にさせてからが大変でした。この2匹・・・色と柄も顔も体形もそっくりなんです。以前撮った写真をよ〜く見て、見比べると目の色が少し違う(フクくんの方が緑っぽい、ツキちゃんは黄色っぽい)のですが、光の加減で猫の目の色も変わるので、判別はやや難しいです。なので、一番分かりやすい方法は、顔を近づけること。のんたんママが、顔を近づけるとシャーと威嚇するのがツキちゃんで、何もしないのがフクくんです。これが一番いいわ〜っとしばらく思っていましたが、数か月もするとツキちゃんが人に慣れてきてしまい、シャーシャー言うことが少なくなってきました。うれしいことでもあるんですが、これじゃあ、ツキちゃんだかフクくんだか分かりません。若干、足の白い部分の面積が違うのですが、2匹とも前足を折り曲げて香箱座りをしていることが多く、人前で滅多に立ち上がりません。ん〜困ったものです。ゴマちゃんは、ほっぺに大き目のゴマがついている柄なので、分かりやすいのに。白い靴下と白いバンダナをつけたような柄の猫2匹ツキちゃんとフクくんのお話でした。
― Fin. ―

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そのB:歌う猫フウちゃんのこれまでの猫生

フウちゃんは、横浜市内にある果樹園のすぐ側で、野良猫として暮らしていました。のんたんママがフウちゃんの事を知った時には、すでに一人ぼっちでした。フウちゃんは、人に飼われていて捨てられたのか、それとも、野良猫として生を受けたのか分かりません。ただ、近所の方の話によると、フウちゃんのお母さんや兄弟猫、そして仲良しの猫たちもみんな、果樹園で散布された農薬によって次々と中毒死してしまい、ついには、フウちゃん一匹だけになってしまったようです。

果樹園では、農薬によって害虫駆除をしています。問題は、猫たちの縄張り内に果樹園が含まれていることです。猫たちは、人が入れないような果樹園のフェンスやネットをいとも簡単にくぐり抜け、農薬を足や体に付着させてしまいます。そして、農薬が付いているにもかかわらず、グルーミングをしてしまい体内に農薬が入り、それが致死量に達し中毒死してしまう。もしくは、農薬が溶けた水たまりを飲んでしまい中毒死してしまう。農薬散布の時期には、近所の野良猫がどんどん死んでいく、猫にとっては危険な環境です。

フウちゃんは、野良猫なのに人に対する警戒心が薄く、甘えん坊で人懐っこい猫だったので、近所の動物好きの方が気にかけていたようです。その方が、のんたんママがボランティアをしていることを知り、「人なれしている可愛い猫が一人ぼっちでいる。次の農薬散布が始まって中毒死してしまう前に保護してほしい。」とのんたんママに依頼をしました。「それは大変だわ!」と急いでフウちゃんを保護しました。幸いにも、保護直後に行った健康診断の結果は良好でした。「よかった。ちゃんと捕獲できるか心配だったけど、すんなり捕まえられたし、農薬の影響もなかったし。間に合った。」と一安心しました。

[画像/ボール]フウちゃんがシェルターの新しい環境や他の猫たちに慣れ、4度目の検便の結果もOKとなった頃、フウちゃんをゲージから出して自由にさせると、のびのび生活するようになりました。のんたんママが階段を上る音が聞こえれば、部屋の入り口に駆け寄り待機。ドアを開ければ待ってましたと言わんばかりに、のんたんママにご飯ちょうだい♪遊んでちょうだい♪と甘えます。
また、今まで、一人ぼっちだったフウちゃんには、一緒に遊んでくれる友達猫とお母さん代わりに甘えさせてくれる(人にはキツイけど、猫には優しい)メス猫母さんたちといった仲間ができました。フウちゃんは、小さいボールが大好きで、器用に前足でボールをポ〜ンと宙に飛ばしては、他の猫たちと一緒に追いかけて遊んでいます。―― フウちゃんはもう一人ぼっちではありません。それに、安心して暮らせる場所も安全な水とおいしい缶詰・カリカリも手に入れました。

[画像/一人ぼっち][画像/虹]それでも、時々、窓の外を眺めては、「フゥ〜ン♪グルルル♪」と歌を歌うように鳴きます。外では、危険と隣り合わせだったとはいえ、自由気ままだった生活を懐かしがっているのでしょうか?それとも、天国にいるお母さん猫や兄弟猫、友達猫に何か報告でもしているのでしょうか?のんたんママにはわかりません。でも、昨日まで当たり前のように一緒にいた家族猫・友達猫たちが、次々姿を消していく・・・どんな気持ちだったのでしょうか。フウちゃんは猫だから、みんながある日突然消えてしまう理由なんてわからない。フウちゃんが、ぽつんと一人ぼっちでたたずむ・・・言い知れない孤独感。そんな寂しそうな光景を想像してしまうと、フウちゃんの歌がなんだか、ちょっと悲しげに聞こえてきます。
ただ、フウちゃんは、脱走をしようとする素振りを一度も見せませんから、きっと「もう、寂しくないよ。」と歌っているのかもしれません。次にフウちゃんが手に入れるのは、フウちゃんを大切にしてくれる家族になるように、のんたんママ、頑張るからね。― Fin. ―

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そのC:ウメちゃんの脱走を阻止せよ!

[画像/遊び中断][画像/ご飯中断] これは、猫たちを新しいお家に引っ越しさせた時の話です。猫たちを新しい猫部屋に入れると、みんな大人しくしていたのですが、美猫だけどシャーシャー威嚇ばかりする、こわ〜いお母さん猫のウメちゃんだけは新しい環境になかなか慣れず、毎日、窓やドアをこじ開けて脱走しようとしたり、ドアをガリガリしたり、出して出してと鳴き続けたりしていました。ウメちゃんが鳴く度、ウメちゃんの息子のコジロウくんが、他の猫との遊びや食事を中断して、ウメちゃんの側にタタタッと駆け寄ってきました。まるで、「どうしたの?何かあったの?お母さん、大丈夫?」と母を心配する親孝行な息子のようです。そんな時は、「健気だね。親孝行だね〜コジロウくん。偉いね。」とよく褒めてあげました。・・・まあ、コジロウくんには、マザコン疑惑もありますけどね(笑)



―― ちょっとした油断があり、猫が脱走してしまったとか、猫が外に出してと鳴くので、可哀そうになって猫を外に出したとか・・・そんな話を何度も耳にしたことがあります。 猫が外に出てしまったため、寄生虫・ノミ・ダニがついたり、猫エイズなどの病気にかかったり、事故に遭ったり、近所の畑や花壇などでオシッコや糞をして迷惑を掛けたり、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。そういう訳で、のんたんママは里親さんに安全に猫を飼ってもらえるよう完全室内飼いをお願いしています。それにしても、「猫探してます。」のポスターを見る度、そして、脱走したっきり戻ってこない猫たちの話を聞く度、胸が痛くなります。これまで外の猫たちのお世話をしていてわかったことですが、外の猫たちの中にはエサ場をめぐる猫同士の争いなどで、どこからか流れてくる猫たちがいて、そんな猫たちの一部に、野良猫にしては体がキレイで人懐っこい猫(捨て猫か脱走した猫かはわかりませんが、おそらく人に飼われていた猫)が紛れていることがあります。そんな時、この猫ちゃん・・・ここに辿り着くまで、いったいどんな苦労をしてきたのかしらとか、虐待目的の人間に何かされないといいなとか、色々なことを考えつつも、「ほら、ここの猫たちがいない今のうちにいっぱい食べておきなさいね。」とその流れの猫にご飯を与えたりしますが、しばらくすると、その場所の猫社会に馴染めなかったのでしょう、流れの猫は姿を消し、もう二度と見かけなくなることもしばしばあります。 お腹がすいたら飼い主さんからご飯をもらえ、暑さも寒さも関係なくぬくぬく暮らしていた飼い猫が、過酷な環境にある日突然、飛び込んだら、果たして生きていけるのか・・・もし自分の猫がそうなったらと想像するだけで、心配でいてもたってもいられません。 [画像/説得]



ですから、どんなにウメちゃんが鳴こうと騒ごうと出すわけにいきません。では、どうするかというと・・・毎日、地道に説得するんです。ウメちゃんの場合、保護される前は、酔っぱらいや猫嫌いの人に石を投げられたり、足で蹴られたり色々と酷いことをされていたそうです。そのため、人は敵だと心を閉ざしてしまい、人と目があえばプッと威嚇し、さらに人が近づくものならシャーと威嚇し、エサを与えようと手を伸ばせば猫パンチをくらわす、危機回避能力の高い優秀な野良猫になってしまいました(飼い猫としてはかなり問題ですが・・・)。そんなお母さん猫の野良猫道の影響で子供のコジロウくんも人が怖くなってしまいました。そんな親子のいきさつを知っているので、のんたんママはウメちゃんに 「いい?お外に出るのは簡単。でも一度お外に出たら、もう帰って来られないよ。そうしたら、もう二度とコジロウと会えないのよ。外は危険だよ。車はあるし、寒いし、暑いし。お腹すいても、誰もごはんをくれないよ。また、悪い人に、石を投げられたり、蹴られたりするかもしれないよ?いい?わかった?わかったなら、大人しくお家にいなさいね。」と毎日毎日、ウメちゃんが出してと鳴く度に言い聞かせました。すると、1週間程で、出してと鳴いたり、脱走を企てたりもせず、大人しくなりました。それどころか、最近では、のんたんママに甘えてくるようになりました(きっと、のんたんママの気持ちが通じたのでしょうね)。以前は、人を見ればシャーとかプッとか威嚇して本当に怖かったウメちゃんが、嘘のようです。これからも少しずつウメちゃんの人間に対する恐怖心やトラウマを和らげていったら、いつかウメちゃんを里子に出すことも夢じゃないな〜と希望の光が見えてきました。 ― Fin. ―

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